Interview / ホログラム演劇「The CHOICE is YOURS」主演:滝山翔太(ダンサー)
3月11日(土)、12日(日)に開催する「OUR FESTIVAL SHIZUOKA 2023」のコラボレーション企画として、七間町のエンターテイメント施設ARTIEの劇場LIVLIVでホログラム演劇「The CHOICE is YOURS」を特別に通常の半額500円で鑑賞できるようになります。
このホログラム演劇「The CHOICE is YOURS」は3D映像とリアルの俳優一名によって上演される新しい演劇のスタイルです。その俳優として昨年の2月のオープン時から一人で担ってきたのが、今回ご紹介するダンサー滝山翔太さんです。
■ インタビュー:滝山翔太さん(ダンサー)
ー 同じことを続けることは簡単そうで難しい。ホログラム演劇から多くを学びました。
ココモンズ:先ほど舞台を観劇させて頂きました。おつかれさまでした。リアルな俳優とホログラムで映し出される人物との会話がとてもユニークですね。とても興味深かったです。それではまずは自己紹介をお願いします。
滝山翔太:はじめまして、ダンサーの滝山翔太です。現在22歳です。静岡市のダンススタジオ「LITTLE STEP FACTORY」でレッスンしながら、この舞台に出演しています。 この舞台はARTIEオープン時の初ステージから一人で演じていて、土日に上演されるので、この一年でおおよそ90ステージを重ねてきました。
ココ:滝山さん一人で約90ステージを1年間上演してきたいのですか。代役がいないということは、1回も休めないということですよね。体調管理とか気を使うのではないでしょうか。
滝山:そうですね。一人でやってましたので穴は開けられませんし、体調管理などは気遣いました。ただこのような経験はなかなか出来ることではないと思いますので、始めるときに最後までやりきろうと決意して、ここまで来ることができました。
ココ:なるほど。1年を通じてコンスタントに舞台に出演し続けるというのはきっと自信になると思います。現在22歳ということですが、何歳からダンスを始めたのでしょう。
滝山:18歳になる直前です。きっかけはK-POPグループのシャイニー(SHINee)のダンスを見たことがきっかけでした。それまでまったくダンスに触れていなかったのですが、カッコいいなと感じて踊ってみたくなりました。
ココ:18歳というのはダンス始めるのは遅い方ではないですか。学校ではダンスが必修になってしばらく経ちます。今は小学校に入る頃には始めている人も多い印象です。踊りを始めた時はどこで練習したのですか。
滝山:確かに、僕がダンスを始めたのはかなり遅いと思います。踊りの練習はスタジオに通い出しました。今も通っているのですが、LITTLE STEP FACTORYという葵区茶町にあるスタジオです。小さな子から大人まで多くの人が通っていて、デビューしている方も多いです。最近ではBTS(防弾少年団)が所属する事務所の日本本社の&AUDITIONから生まれた「&TEAM」のメンバーもいます。
ココ:それはすごい。そのスタジオに通って4年半ほどになると思うのですが、踊りを始められてしばらくして日本舞踊やバレエも始めたようですね。
滝山:はい。バレエはレッスンの一部で組み込まれています。最初の半年くらいはK-POPを週一くらいで趣味のような感じだったのですが、ダンスをもっと本格的にやってみたくなってバレエも組み込まれたレッスンに変えました。日本舞踊もスタジオで紹介してもらって始めました。
ココ:K-POPから入って日本舞踊を習い出すって珍しいですね。動きからまったく違う踊りだと思いますが、日舞の面白さって何ですか。
滝山:本当に違いますね。笑)全く新しい踊りって感じです。でも形を正しく写しとるということが、普段踊っているダンスにも役に立っていると思います。あくまで形通りに正しく踊るという前提がありながら、その中でどうやって自分を表現するのかというのが面白いですね。元の型を変えずにでもどうやって変えていくかというか、ずっと終わらないその試行錯誤が楽しいです。
ココ:そこを面白がれるのが面白いです。笑)若いうちは自分を表現したい欲求が強くて、どうしても自己を出そうとすると思います。でも滝山さんは自己表現以前の「型」を面白がれる。それは自分の性格的なことですか。
滝山:そうですね。性格はあると思います。笑)教えてもらった通りに踊るということが、自分にとってはまず大事で、自己流に変えようとかは思わないですね。ただ最近は与えられた振付を自分なりに表現してみることも少しずつ挑戦したりしています。考え方も変化はしていて、それがダンスにも現れているような気がします。
まずは上手い人を真似することが、ダンスを習得するのには早いと思います。習得できれば、それを変化させるのは難しくないので。もちろん上手い人を100%真似るというのは無理ですが、近くまでは行けるのでは。ある程度シルエットとか取れてきて、自分なりに近づいたと思えば、そこから少しずつ変化させてみたりしています。
ココ:今はどの程度レッスンしているのですか。
滝山:週6くらいですかね。日曜日はレッスンがないので、それ以外は基本的に毎日です。
ココ:それはすごい。まさに仕事ですね。そして土日にホログラム演劇を上演するということですよね。そのルーティンを1年守ってきたというのはすごいですね。まとまった休みはなかったですか。
滝山:大変な部分もありましたけど。笑)まとまった休みはほとんどなかったのですが、10月にアメリカへレッスンも兼ねて1週間行きました。その少し前には韓国へK-POPの世界大会出場のために2週間滞在しました。
ココ:K-POPの世界大会に出場したのですか。どんな雰囲気でしたか。
滝山:6人組で踊ったのですが、K-POPアイドルたちと同じステージに立ちました。僕は普段メインで踊ることはほぼないのですが、その時はメインで踊る時の雰囲気を味わうことができました。お客様が大勢入っていて、歓声とか浴びながら、ずっと見られているってのはこういうことかと実感しました。これまでで一番大きなステージで、初めての景色が広がっていました。内心めちゃくちゃ興奮していたのですが冷静に踊ろうと意識して。そうではないと音とかとずれちゃうので抑えながらです。あっという間でしたが、本当に楽しかったです。
ココ:それはいい経験ですね。LITTLE STEP FACTORYのメンバーと踊ったということですか。
滝山:はい、そうです。日本の地区予選があってそこを勝ち抜いて優秀賞をもらえて韓国に行けることになりました。その韓国の大会に出るために世界中から勝ち抜いたチームが集まってきます。その集まってきたチームの中から本戦に出場できるのは8チームでしたが、なんとかそこにも残り、そしてステージに立たせてもらいました。とても良い経験になりましたね。
ココ:その8チームに残るだけでもすごいことですよね。どんな国が参加されていたのですか。
滝山:本当にすごい人たちばかりで。笑)他のチームの練習なども見れたりするのも良かったです。コロナ禍なので、みんな同じ宿泊施設にいるので、挨拶などもするようになり交流が進みました。ダンスとか教えあったりして。本番まで一緒に生活して仲間のような連帯感のようなものもありました。参加していた国は全世界からって感じで、ナイジェリアとかチリ、モンゴルとか。クオリティとかめちゃくちゃ高くて。ナイジェリアのチームはバク宙などアクロバットが凄くて、あれはぜったい真似できないなと思いましたね。ジャンプ力が全然違います。笑)
ホログラム演劇について
ココ:ホログラム演劇に出演するきっかけはどのようなことだったのですか。
滝山:オーディションをスタジオで知って応募し採用されました。この仕事をする前はレッスンしながら、バックダンサーとか、ミュージックビデオなどの依頼を頂いたら東京などに行って仕事をしていました。今はレッスンを続けながら、週末はここで出演するというルーティンです。
ココ:おおよそ1年間ホログラム演劇を続けてきたわけですが、特有の難しさはありますか。
滝山:すべてが初めてで、まずホログラム演劇って何?って感じだったので。笑)演劇自体も初めてだったのですが、ホログラム演劇は実際には目の前に相手もいないので、本当に会話しているようにするのが、すごく難しかったですね。空間に向かって喋るので、それでも本当に会話しているようなリアリティを持たせないといけないので。そのためにもリハーサルはほぼ毎日やってます。全部音で合わせているのですが、少し時間があくとちょっと違うなと感じたりするので、毎回映像で撮って細かな確認をしています。映像でしか確認できないので、それが苦労するところでもありますね。
演技に関して言えば、実際には会話する相手がいないので、どちらかといえばダンスの振り付けのような感じで演技することになります。でも振り付けのようだったり、ルーティンのように見えてしまうと芝居としてのリアリティが出てこないので、そこには気を使います。ただ、そこが難しいところでもありますが、逆にそこが上手くできるとホログラムの魅力を伝えられると思います。リアルから映像に切り替わるところがまったく分からないとか。そこでわかってしまうともったいない。そこは大切に違和感なくつながっていくように挑戦しています。
ココ:なるほど。先ほども観劇させて頂きましたが、リアルとヴァーチャルを上手につなげることが大切なのは納得します。
滝山:やはり映像はインパクトが大きいのですが、そこに役者がいることによって空間全体にリアリティを与えます。ホログラムの良いところは、場面転換が速く、一瞬で切り替えることができて、なんでも表現できます。まさに無限大。でもそこにリアルがあるからこそ、映像と ナチュラルに切り替わることによって驚きを与えられると思います。リアルと映像のダイナミックな掛け合いが大事ですね。
ココ:1年契約ということなので期限もすぐそこですが、振り返っていかがですか。今後のプランとかありますか。
滝山:一人で演じてきたので、怪我や病気など出来ないプレッシャーはありました。長くやると感情の波もあるので、すべてがベストとは行かないのですがその時々で出来ることを精一杯やってきたつもりです。演じ始めたころは、舞台上での自分の歩き方さえイメージできなかったのですが、今ではお客さんの反応を見られるくらいには冷静になれました。技術面は自分なりに工夫してきましたので、ずいぶん良くなっていると思います。ただ同じことを続けることは簡単そうで難しいことも実感しています。
今後の予定はまだ何も決まっていないのですが、普段通りにレッスンをベースにオーディションを受けていきます。ダンス世界も競争が激しいのでけっして簡単ではないのですが、人生一回きりなので何事にも挑戦していきます。これからはバックで踊るだけでなくメインで踊れるような自己表現にも取り組むつもりです。
ココ:この1年の経験はきっと今後の活動に力を与えると思います。ココモンズもこれからの挑戦を応援しています。今日は長い時間ありがとうございました。
収録日:2023年1月15日
場所:ARTIE カフェスペース
聞き手・編集:柚木康裕(ココモンズ)
踊っている時は颯爽としてカッコ良いイメージでしたが、インタビュー中はとても礼儀正しくシャイな雰囲気の滝山さん。表面的でない静かな熱意のようなものを感じさせます。本人もガツガツしたタイプではなく、人見知りでゆったりしていて、落ち着いて物事にあたる性格だと自己分析。レッスンでは先生方の多様な考え方に触れて刺激を受けているといいます。その聞く耳を持てるということも彼の能力のひとつではないかと感じました。これからもさまざまな舞台に挑む若い才能に注目していきたいと思います。
滝山さんのLIVLIVでのファイナルステージが3月11日(土)、12日(日)に「OUR FESTIVAL SHIZUOKA 2023」のコラボ企画として上演されます。通常1000円のところを特別に500円に割引してご覧いただけます。
(割引券はアートガーデンのインフォメーションブースでお配りします)
(上演時間は未定です。決まり次第OUR FESTIVAL SHIZUOKA 2023のHPへアップします)
ぜひ、滝山さんのこの1年の集大成の舞台をご覧ください。お待ちしております。
公演情報は以下をご覧ください。
ARTIE LIVLIV
https://www.artie-info.com/the-choice-is-yours
OUR FESTIVAL SHIZUOKA 2023
https://www.c-c-c.or.jp/lp/ofs2023
[ 関連情報 ]
LITTLE STEP FACTORY
https://www.littlestepfactory.com/