プレビュー / 7月に上演される伽藍博物堂『囚われのマルガリータ』のみどころなど。
7月21日から23日にかけてギャラリー青い麦で伽藍博物堂プロデュース公演『囚われのマルガリータ』が上演される。
本作は伽藍博物堂主宰佐藤剛史が1999年に書き下ろし、2000年に自ら演出を担当し初演した演目。とあるbarに押し入った拳銃を持った女性が起こす騒動を描いた物語。登場人物は女性の他に、barの店主と客、そして出入りする酒屋の3人。24年を経て、この物語はどのように観客に受け取られるのか。演出にも注目したい。
本公演はもうひとつ注目するべきところがある。それは演出にも関わることだが、キャストがほぼ女性だけということ。台本上は4役のうち、女性役以外の役は男女どちらでも成立するが、ダブルキャストで6名の女性が3役を演じる。『囚われのマルガリータ』はこれまで上演を重ね、さまざまな配役パターンがあったが、ここまで女性が揃うのは記憶にないとのこと。どの役になるのかは上演のお楽しみにして頂きたいが、これは上演の雰囲気を明らかに左右させることになるはず。現代においてbarの主が女性でも珍しいことではない。そうした現代性がこの舞台に現れるのかどうか。そんなところも注目してみてはいかがだろうか。
佐藤は今回の公演にあたり、俳優としてある程度の経験がある方に声を掛けたという。それはすでに演劇に取り組んでいる俳優たちにスキルアップの場を提供したいという想いからだ。参加された俳優は大学生から市民演劇を長年親しんでいる女性まで年齢は幅広い。佐藤は伽藍博物堂を立ち上げて30年近く経ち、大学で静岡にきて以来40年近く演劇を続けている。その経験をフィードバックしたいと考えていると以前に話されていたので、このような機会がそうした実践だと伺われる。
「古いけど面白い本です。もっともそれを伝えるために、今苦しんでいます。俳優たちのスキルを上げるためには、もう一度俳優のスキルについて自分自身が学び直さなければいけないことに気づきます。崩したりほぐしたりしながら、ひとつずつ積み重ねるほかありません。その結果がどうなったのか、ぜひ見にきてください」と佐藤からコメントをいただいた。
また、佐藤はこのような機会を定期的に作り、レパートリー公演として定着させていきたいと述べていた。筆者は演劇は新作の楽しみがもちろんあるが、レパートリー公演には演劇ならではの楽しみがあると考えている。むしろ作品が時を経て上演されることで現代を照射することは演劇の重要な役割とも言えるのではないだろうか。そうしたレパートリー作品を創作していくことは演劇人の実り多い挑戦であるはず。今回の上演がその始まりとなることにも期待したい。
cocommonsでは、後日出演者にインタビューを行い記事にする予定です。どうぞ楽しみに。
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7/21(金)〜23(日) 伽藍博物堂プロデュース公演 『囚われのマルガリータ』 [広報協力]
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