Interview / テーマパークダンサー おかむられな
ー 皆で次の世代のダンサーを育てていくような土壌をこの静岡に根付かせたい。
9月11日に開催された合同ダンス公演「ONE Daydream 〜 overture 〜」は、6グループの多彩なダンスが繰り広げられ、会場は大いに盛り上がりを見せた。この公演を主催したダンサー・振付家であり、株式会社ONE Daydream代表取締役のおかむられなさんに公演への想いやこれからのビジョンを伺いました。
ココモンズ:インタビューを受けて頂きありがとうございます。まずは自己紹介をお願いします。
おかむられな:地元の清水区出身です。小学校1年生からダンスを始めて、ヒップホップからジャズ、バレエなど経験しました。地元のスタジオに通いながらダンスを続けていましたが、高校生の頃はもやもやしたものを抱えていましたね。というのも、ダンスがもっと上手になりたくてほかの教室やインストラクターの先生に興味を示すと、通っている教室から待ったが掛かったりして。ちょっと違うんじゃないかと思うことが多かったのです。
ココ:なるほど。そういった問題があることは時々耳にします。上達するために多様な選択があることは必須だと思いますが、なかなか解消されない地方の課題ですね。大学は東京のダンス専門学校に行ったと伺いましたが、どんなジャンルを専攻したのですか。
おかむら:東京のダンス&アクターズ専門学校のテーマパークダンサー・コースに入りました。高校生のころにこのダンスを知って、ダンサーとして職業にしてみたいと思ったのがきっかけです。
ココ:テーマパークダンスとはどんなダンスですか?
おかむら:テーマパークダンスというのは、文字通りテーマパークで披露されるようなエンターテイメント性の高いダンスです。踊りの基本はジャズダンスです。ただテーマパークダンスは、観客とのコミュニケーションを取りながら踊ることに特徴があると思います。つまりダンサーの独りよがりの踊りではなく、目の前のお客様の反応を見ながら、表現を変化させていく柔軟性がないといけません。私はいつもホスピタリティを意識しますが、観客に楽しんで頂くことを第一に踊ります。
ココ:このダンスジャンルを初めて知りましたが、いつ頃に確立したのですか。
おかむら:はっきりといつからとは言えないのですが5、6年くらい前ですかね。まだ新しいジャンルだと思います。私の師匠はShojinというダンサーですが、テーマパークダンス(ジャズダンス)主軸にしたオンラインサロンの代表でもあり、会員は600人ほどいます。専門学校の同期も30人近くいましたので、注目が集まっているジャンルだと思いますし、盛り上げていきたいです。
ココ:なるほど。専門学校卒業後はどうされましたか。
おかむら:香川県にあるテーマパーク「ニューレオマワールド」にテーマパークダンサーとして就職しました。さあ、ダンサーとしてがんばるぞとやる気満々でしたが、タイミングが悪いことに新型コロナウイルス感染症発生の時期に重なりました。開園もままならない状態が続き、なかなか来園者の前でダンスが出来ない日々です。残念ではありましたが、それでも先輩からテーマダンスのいろはを教わり稽古に励ました。今となれば良い経験だったと思います。
ココ:3年前が卒業した時だということは、おかむらさんは今いくつでしょうか?
おかむら:8月が誕生日だったのですが、今年で23歳です。
ココ:見えない。。笑)いや、いい意味で落ち着いているという意味です。笑)
もちろん年齢は関係ないと思いますが、今回は主催として合同公演を静岡市民文化会館中ホールを使い、多くの集客をして成功に導いたのは素晴らしことです。それにしても、おかむらさんの年齢でこれだけのことを開催しようと思い立ち、実行するのは並大抵ではありません。その原動力とは何ですか。
おかむら:先ほども伝えましたが、高校時代のもやもやも関係しています。せっかくダンスが好きになって、上手になりたいと思っても大人の事情で断念させられてしまうようなことが起こってほしくありません。そうではなく、ダンサーやインストラクター、教室が垣根を超えて、皆で次の世代のダンサーを育てていくような土壌をこの静岡に根付かせたい。その想いがあります。そのために、まず何が出来るだろうと考えて合同公演を企画しました。もちろん私一人の力で開催できたのではありません。幸運にも私のこの想いに賛同頂ける教室の先生やダンサー・振付家の皆さまに巡り会えました。本当に感謝しています。そして、運営に協力してくれたダンス仲間や教室の生徒たちにも感謝を伝えたいです。
ココ:公演でもその想いが伝わってきました。各チームを率いていた先生や振付家の方はみな年上だと思いますが、年齢経験に関係なくひとつの目標に向かおうという意志を感じるステージでした。現在は静岡市に戻られて活動していますが、クリエーションの場として静岡市について感じていることはありますか。
おかむら:コロナで十分な活動が出来なかったニューレオマワールドを辞めることを決めて、静岡に帰ってきたのが21年2月でした。教室を借りて生徒を募りテーマパークダンスを教え出しました。最初は生徒集めに苦労しましたが、徐々に増えて現在では専用のスタジオが欲しいと思うまでになりました。その中で感じることは静岡市のダンス人口が多いということです。ミュージカルやダンス、エンタメもさかんな印象です。また演劇や芸術なども身近に感じられます。
ココ:はい。私たちもそれは感じています。その近さがあるので他ジャンルのクリエーターとの距離も近いように思います。たとえばミュージシャンとのコラボレーションなども起こりやすい。これは静岡市のポテンシャルなのだと思います。しかし、それには誰しも自由に行き来できる活動環境を整えないといけませんね。最後におかむらさんのこれからのビジョンを聞かせて頂けますか。
おかむら:合同公演の当日パンフレットに書かせて頂きましたが、静岡を日本一のダンスエンタメ県にすることが大きな目標です。キッズからシニアまで自由に楽しく踊ることができる未来を創りたい。パンフレットでは少し挑発的な言葉も使いましたが、やはり想いをまっすぐに届けたいですし、覚悟を持っていることを伝えたい。ダンス関係者にこそ、それを知ってほしいです。まだまだ自分自身が成長しなければなりませんが、大好きなテーマパークダンスを通して、静岡のダンスシーンを盛り上げていきたいです。
ココ:おかむらさんのその熱意に心を動かされます。ココモンズも微力ながら応援していきます。今日はインタビューにお応え頂きありがとうございました。
[ プロフィール ]
おかむられな
学生時代から、hot pepper beautyやマルちゃん正麺QTTAなどのテレビCMに出演、happinest celebration in concertではディズニーお祭りダンサーを務める。紅白歌合戦、角松敏生Live tour振付、ラグビーW杯開会式ダンサーなど大型の現場での経験をもとに、「万人にわかりやすいエンターテイメント」を目指し創作活動をしている。
卒業後はテーマパークダンサー・エンターテイナーとして活躍し、現在はダンサーとして表舞台に立ちながら、アイドルや、ミュージカル振付師として多くの生徒を指導しています。また株式会社ONE Daydreamを創設し、これからの静岡ダンス界に新しい風を巻き起こそうとしている。
Twitter:@rena_okamuuuuu
■
おかむらさんは、今後の具体的な目標としてさまざまなクリエーターが集るスタジオを持ちたいとおっしゃっていました。そう語る姿はしっかり前を見つめ、未来を創造するという気概に満ちています。直近の活動予定は10/23(日)に富士急ハイランドでショウを行うということ。ますます活発に行動するおかむらさんのこれからに注目していきたいと思います。
ーーー
聞き手:柚木康裕(cocommons編集長)
収録日:2022年9月21日
場所:ARTIE(アルティエ) 1F カフェ