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Vol.3『χορός/コロス』稽古取材レポート – 本番直前

5月2日。本番まであと二日。会場となるフェスティバルgarden(駿府城公園東御門前広場)での稽古も大詰めを迎え、出演者の表情も引き締まっています。それでも稽古が過剰にピリピリしたと雰囲気になることはありません。それはこれまでのリポートでも触れた通りに、座組全体がお互いを尊重するという姿勢を共有しているからでしょう。野外というままならなさに立ち向かいながら、それぞれが相手を気遣い自分の役割に励む姿がとても印象的です。

納得するまで何度も話し合い意識の共有を図ります。

ストリートシアターフェス「ストレンジシード静岡2023」のオープニングを飾るこの演目は、フェスティバルディレクターでもあるウォーリー木下さんが演出するという意味でもストリートシアターを体現する作品と位置付けてもよいでしょう。特に今回は「ストリートシアターってなんだ?」という問いを自らが改めて掲げて開催されています。では、それは一体何か?

ここでは「ストリート」と「シアター」と分けて、ごく簡単に考察してみます。

まずストリートとは常に公共空間であること。そして野外であること。ということは、もちろん不測の事態が恒常的であるということ。ゆえにこの事態をネガティブではなく、ポジティブに扱うことをまず前提に取り組むはずです。あるいはプロフェッショナルな出演者たちでしたら、時に力技でねじ伏せたり、臨機応変に対応することも可能でしょう(いつぞやの大階段会場でのカンパニーデラシネラ『ロミジュリ』のように) 。

聴覚障害のある出演者には通訳者がサポート。

もちろん『χορός/コロス』出演者はプロからアマチュアまでさまざまな方が参加されているので、力技は使えるはずはありません。ではどうするのか。それは実際に観劇されてお確かめ頂くしかありませんが、ただ稽古を見続けて感じたのは、60名超の市民参加によって擬似的な公共空間が立ち上がっているということです。つまりこの座組にはすでに「ストリート」が内包されているということでしょう。これが本番でどう表出されるのか楽しみです。

そして「シアター」です。シアターは劇場とも演劇とも訳すことが可能ですが、その語源「テアトロン」を意識すれば観客も含めることが可能かもしれません。そう考えると「ストリートシアターってなんだ?」という問いは観客自身も発せなければいけないかもしれません。演じる側だけでなく、「見る/観る/視る」人としてもこの問いは課せられいると言ったら大袈裟でしょうか。

園児たちの「もう一回みせて〜」と無茶振りに笑顔で応える出演者の皆さん。

「みる」ということで言えば、『χορός/コロス』の現場稽古を隠さずにすべて見せていることがとても面白く痛快です。通行人は立ち止まり、保育士に連れられた幼稚園児たちはさかんに出演者に声をかけたりしていました。このオープンネスはまさに野外ということをポジティブに捉えている証左とも言えます。そしてこのレポートの写真を見て頂くと分かると思いますが、稽古風景の写真をアップしていいも構わないと言われています。もちろん観劇予定で事前の様子を知りたくない方には余分なのかもしれませんが、すでに見られてしまっていることを隠すことにあまり意味はないという演出家のメッセージと受け取れます。常にポジティブに。

この丸見えの稽古の様子を出演者に尋ねてみると、好意的な返事が帰ってきました。
「現地の稽古は、その日の状況で全く変わります。風や日の光など、常に環境は変化しているし、稽古の度に私たちにも変化があるので、何度見ても新しいものを見てもらえると思います。むしろ稽古から何度も見ることによって、その変化そのものを感じてもらえると嬉しいですね。絶えず進化し形が変わっていますので」

県外から参加しているマリさんとマコトさんにコメント頂きました。

いよいよ『χορός/コロス』という集団の物語の全容が姿を表します。出演者は舞台に立てばプロもアマチュアも関係なく、作品のために尽くすはずです。その時に私は観客というシアターの住民として、市民参加で出演者ががんばっているという美談で済ませずに、作品そのものを深く味わいたいと思います。

演出チームは通し稽古を終えてからも入念に振り返り。

これで稽古取材レポートは終了します。
忙しい最中に取材に対応して頂いた演出のウォーリー木下さんはじめ演出チーム、制作、すべての出演者の方など関係者の皆様に感謝いたします。

テキスト・写真:柚木康裕(ココモンズ主宰)

・cocommons『χορός/コロス』稽古取材レポート vol.1
・cocommons『χορός/コロス』稽古取材レポート Vol.2 – コロスって何?

ストリートシアター静岡 コアプログラム
ウォーリー木下 作・演出『χορός/コロス』
5/4(木・祝)〜6日(土) 11:00〜11:40(全3公演)
『χορός/コロス』は無料でもご覧頂けますが、有料の椅子席も用意されています。お申込み方法は以下のSAPCチケット情報でご確認ください。
 → 砂かぶり椅子席(自由席・整理番号順)(SPACチケット情報ページ)

ストレンジシード静岡のnoteにウォーリー木下さんといいむろなおきさんのインタビューが掲載されています。
演劇の”魔法”を届けたい『χορός/コロス』インタビュー

ストレンジシード静岡 2023 公式HP

[ 関連ページ ]
ふじのくに⇄せかい演劇祭 2023
SPAC-静岡県舞台芸術センター

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